日本では、漢方薬というだけで初めから効果を否定する医師も少なく ありません。
しかし、以前から葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)という漢方薬がイン
フルエンザの治療薬として有効であることを確信し、独自の使用方法で処方し
てきた日本の医師たちも少なくありませんでした。
今日では、富山医科薬科大学ウイルス学教室の先生方による研究から、葛根
湯がインフルエンザに対する治療薬として有効であることが科学的に証明され
ています。
インフルエンザに感染すると、ひとの体はインターロイキン1という生体内化学
物質を活性化させて免疫反応を起こします。この反応が強すぎると、高熱や
苦痛を生じてしまうのですが、葛根湯はこの反応を適切な強さに調節する作用
を示すことが明らかになったのです。
この作用により、適切に用いれば、葛根湯はA型およびB型のいずれのインフ
ルエンザに対しても優れた治療効果を示すことが、多くの臨床医によって確認
されています。
そのため、次第に日本では葛根湯をインフルエンザ治療に使用する医師も増
えているようですが、まだまだタミフルに頼る傾向が強いのは明らかです。
葛根湯は日本の伝統的な漢方医学のお薬の一つです。
中国の伝統医学は中医学と言い、実は日本の漢方医学のルーツではあるもの
の、中医学と漢方医学は今日ではまったく異なる要素を持った別の医学体系に
なっています。
そのため、中国には葛根という薬草が含まれている中薬と呼ばれる中医学の
薬はありますが、葛根湯とまったく同じお薬は存在しません。生薬を調合すれば
同じものを作れますが、どこの病院でもできるわけではありま し、中国で葛根湯
を入手するのは難しいでしょう。
中医学では、インフルエンザには板藍根(ぱんらんけん)という生薬が有効である
と考えられています。このお薬をインフルエンザの予防薬として冬場に毎日1回
内服するという人もいます。
板藍根のお茶も市販されており、それを健康維持のために飲むという人も少なく
ありません。また、板藍根にいくつかの生薬を加えたインフルエンザやカゼに対
する治療薬もしばしば用いられています。
また、中国では欧米諸国でかなり前から使われているリバビリンという抗ウイルス
薬もしばしば使用されます。これはインフルエンザを初め、いろいろなウイルスに
効果があるとされる抗ウイルス薬で、安価なことも特徴です。
インフルエンザ対策として、まず予防接種が推奨されます。いくつかの専門的な
研究によると、インフルエンザに対して予防接種では感染や発症を阻止する機能
を持った抗体を十分に作ることは難しい言われています。予防接種の有効率も、
報告によって異なり、65~80%程度ではないか、あるいは30%程度に過ぎない
という否定的な意見もあります。
しかし、疫学的な研究によると、「予防接種を受けておくと、もしインフルエンザに
なってしまっても重症化することが少ない」という説が有力視されています。
このことから、特に子どもたちや高齢者に対して予防接種を推奨されることが多
いようです。
ただし、鶏卵に対する強いアレルギーがある場合は、副反応が問題になることを
理由に予防接種を受けるべきではないという専門家もいます。
したがって、医師による専門的な判断を参考にして予防接種実施の可否を決める
ほうが良いと考えられます。
インフルエンザの予防策は、やはり日常の健康管理が基本です。
規則正しい生活習慣を維持し、バランスの良い食事を摂り、清潔で温度や湿度が
適切な環境を作り、適度な運度を継続して体力を維持し、ストレスを発散できる
リラクゼーションを楽しむことなど、健康に良いとされることを確実に実行すること
が最も大切です。
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